被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト
玄海原発プルサーマル 09年度開始も
              佐賀新聞(2008年12月29日)

 フランスで製造したプルサーマル用のプルトニウムウラン混合酸化物(MOX)燃料を、九州、四国、中部の各電力会社が来年前半に海上輸送し、4-6月の間に日本に到着する計画を立てたことが28日、関係者の話で分かった。欧州からのMOX燃料輸送は3回目で、2001年以来8年ぶりとなる。順調にいけば、09年度中にプルサーマルが始まる可能性が出てきた。

 核物質を狙ったテロなどを防ぐため、輸送に関する情報の扱いは厳しくなり、3社とも「輸送時期やルートなどは公表できない」としている。

 輸送するのは、使用済み核燃料の再処理をフランスに委託、取り出したプルトニウムをウランと混ぜた燃料集合体。九州電力玄海原発3号機(佐賀県)用の16体と、四国電力伊方3号機(愛媛県)用の21体が完成し、中部電力浜岡4号機(静岡県)用の28体が製造中。

 関係者は具体的な月を明らかにしていないが、フランス出発は1-3月のいずれか、日本到着は4-6月のいずれかの月。「時期が合えば、他社と一緒に輸送することも検討する」とする電力もあり、正式な月日は今後決定するという。

 ルートはアフリカの南側、南米の南側、パナマ運河をそれぞれ経由する3つがある。いずれも約2カ月かかる。過去2回の輸送で使われたアフリカルートが有力。テロに備え、船は武装する。

 電気事業連合会によると、MOX燃料は耐火耐水性や落下、放射線遮へいなどの安全基準を満たす専用容器に収める。輸送船は船底を二重にして衝突や座礁しても沈みにくい構造にするなど、最高水準の安全性があるという。

 過去2回のMOX燃料輸送は、東京電力関西電力の原発用だったが、不祥事などでプルサーマルは実現していない。


 定検の来夏ポイント
玄海原発3・4号機
手前側が3号機、向う側が4号機

 九州電力玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)のプルサーマル計画に県と玄海町が同意して2年9カ月。当初は九州電力が全国のトップを切って導入するとみられたが、四国電力と中部電力が追いついてきた格好だ。MOX燃料は定期検査に合わせて装荷されるため、玄海3号機のプルサーマルは次回の定期検査が予定される来年夏が一つのポイントになりそうだ。

 九州電力は2006年3月に地元同意を受け、昨年10月からフランスのメロックス社でMOX燃料の製造を開始。未検査部品の使用判明で完了時期がずれ込んだが、今年7月に16体の燃料が完成した。その後、四国、中国電力ともメロックス社に燃料製造を発注。先発の九州電力が先例となり、製造もスムーズに進んだとみられる。

 プルサーマルはMOX燃料が日本に到着した後、電力会社や国による検査を経て、定期検査に合わせて導入される。玄海3号機は今年7月に定期検査を終え、次回検査は来年8月ごろの予定。そこに間に合うかは分からないが、国内初となるプルサーマルがいよいよ具体性を帯びる。

 こうした動きについて、市民団体「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」の中村京子さんは「開示される情報が少なく、不安がいっぱい。納得いく説明を得られるまで活動を続けていきたい」と話す。


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もっと知りたい ニュースの「言葉」
Kyodo ZoomMOX燃料(1992年11月12日) 使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜた燃料。通常の軽水炉型原発の燃料には核分裂性のウラン235が三%程度含まれている。軽水炉でプルトニウムを燃やす「プルサーマル」では、ウラン235の数%を二酸化プルトニウムに置き換える。 通常の核燃料に含まれるウランはほとんどが非核分裂性のウラン238だが、軽水炉の運転中にウラン238の一部が中性子を浴びてプルトニウムに変わる。このプルトニウムを燃料として再利用することでウラン資源の有効利用が図れる、とされている。
Kyodo Zoomプルサーマル(2007年12月12日) 原子力発電所の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、ウランとの混合酸化物(MOX)燃料にして一般の原発(軽水炉)で燃やすこと。プルトニウムとサーマルリアクター(軽水炉)を合わせた造語。高速増殖炉の開発が中断しているため、核燃料サイクルのプルトニウム利用の中心に位置付けられている。電力業界は2010―11年ごろまでに16―18基での実施を目指している。

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MOX燃料輸送で事前了解願提出 九電
                   佐賀新聞(2009年1月28日)

 玄海原子力発電所3号機(東松浦郡玄海町)で使用するプルサーマル用のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料をフランスから搬入するため、九州電力は28日、安全協定に基づき佐賀県と玄海町に輸送計画の事前了解願を提出した。四国電力、中部電力と共同で輸送する。到着時期などは出発後に公表するが、早ければ8月下旬の定期検査までに搬入され、今秋にもプルサーマルが始まる可能性がある。

 輸送計画では時期や海上輸送の経路、安全対策などを示しているが、具体的な内容は核物質を狙ったテロ防止などを理由に現時点では公表していない。県は今後、九電から詳細な説明を受け、了解するかどうかを判断する。

 玄海原発で使用するMOX燃料はフランスのメロックス社で製造し、昨年7月に燃料集合体16体が完成。県と玄海町が輸送計画を了解した場合、四国電力伊方3号機(愛媛県)と中部電力浜岡4号機(静岡県)用のMOX燃料と一緒に専用船で運ぶ。

 輸送船の出発日、概略輸送ルート、おおよその到着時期、積み出し港などは出発1日後に公表する。欧州からの輸送は2001年以来3回目で、過去2回はいずれも2-3カ月で到着している。

 九電によると、専用船は船底が二重構造で、衝突防止レーダーを備えるなど国際基準に沿った安全対策を施している。輸送容器も国際原子力機関などが定めた基準を満たし、落下や耐火試験で安全性を確認しているという。

 玄海原発に搬入した後は九電が受け入れ検査を行うとともに、国が輸入燃料検査を実施。3号機は8月下旬から2カ月程度、定期検査を行う予定で、それまでにトラブルなどが発生しなければ定期検査に合わせてMOX燃料を装荷する可能性がある。

 今夏のプルサーマル実施について、九電は「輸送時期の特定につながるので、今は何とも言えない。社会的関心が高いので、情報は可能な範囲で提供したい」と話す。

 県原子力安全対策課は「九電から詳しい説明を受けるとともに、法令に基づき国に提出される輸送計画の安全確認の内容も確かめる。その上で、県として了解するかどうかを判断したい」としている。

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核燃サイクル視界不良―設備不具合 耐震指針改定で遅れ
                                     佐賀新聞(2009年1月29日)

玄海原発プルサーマル 09年度開始も 九州電力は28日、MOX燃料輸送計画の事前了解願を提出し、「核燃料サイクル」の一端を担うプルサーマル実施に向け、着々と準備が進む。将来的には国内で製造したMOX燃料を使うことが目標で、青森県六ケ所村では関連施設を整備中だ。しかし、設備の不具合や耐震指針の改定などで足踏み状態が続き、核燃料サイクルの先行きは視界不良だ。
写真
 「国内初のプルサーマル導入で、住民の関心も高い。十分に事業者から説明を聞き、判断したい」。事前了解願を受けた玄海町の岸本英雄町長は慎重な姿勢を見せるが、核燃料サイクルには賛成の立場。「うちで(プルサーマルが)始まっても、全体が動き出さなければ、このシステムの意味はない」と国内の態勢整備に期待を寄せる。

 六ケ所村の施設は日本原燃が整備。使用済み核燃料から再利用できるウランとプルトニウムを抽出する再処理工場と、MOX燃料集合体を製造する燃料加工工場などだ。玄海3号機などプルサーマルを導入する原発と合わせ、核燃料サイクルの大きな役割を担う。

 再処理工場は06年3月から試運転を開始し、最終段階に入っている。使用済み核燃料からウランとプルトニウムの抽出には成功しているが、再処理で出る核廃棄物を処理する過程で不具合が発生。当初07年8月としていた終了時期は現在、今年2月に延期されている。

 一方、原発に装荷するためのMOX燃料集合体を製造する加工工場。07年10月に着工する予定だったが、耐震指針の改定で延期されており、現在は国の安全審査待ちの状態。着工のめどは立っていない。

 1995年のナトリウム漏れ事故以来、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井)の長期停止が続く中、プルサーマルは、同村で製造したMOX燃料を使う唯一の手段とされる。今回、九電が輸送計画の事前了解願にこぎつけ、着々と歩みを進めているようにも見える。

 ただ既存の原発55基のうち、地元同意を得ているのは玄海3号機と伊方3号機(愛媛)、浜岡4号機(静岡)、高浜3・4号機(福井)の4原発5基のみ。「10年度までに全国で16―18基を導入」とする国の目標達成は厳しい情勢だ。

 岸本町長は「一つの歯車が狂うと全体に影響が出かねない。安全を最優先に早期操業を期待している」と話す。

■核燃料サイクル 原子力発電所の使用済み核燃料から、核分裂しなかったウランやプルトニウムを抽出し、再び燃料として利用するシステム。高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決まらないなど、多くの課題も抱えている。
玄海原発プルサーマル 09年度開始も
【写真】使用済み核燃料からウランとプルトニウムを抽出する再処理工場=青森県六ケ所村

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玄海原発プルサーマル―九電、今秋にも実施
                        佐賀新聞(2009年1月29日)

燃料輸送 県、町に了解願

 玄海原子力発電所3号機(東松浦郡玄海町)で使用するプルサーマル用のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料をフランスから搬入するため、九州電力は28日、安全協定に基づき県と玄海町に輸送計画の事前了解願を提出した。四国電力、中部電力と共同で輸送する。到着時期などは出発後に公表するが、早ければ定期検査を実施する今夏にもMOX燃料が装荷され、プルサーマルが始まる可能性がある。
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 輸送計画では時期や海上輸送の経路、安全対策などを示しているが、具体的な内容は核物質を狙ったテロ防止などを理由に現時点では公表していない。県は今後、九電から詳細な説明を受け、了解するかどうかを判断する。

 玄海原発で使用するMOX燃料はフランスのメロックス社で製造し、昨年7月に燃料集合体16体が完成。県と玄海町が輸送計画を了解した場合、四国電力伊方3号機(愛媛県)と中部電力浜岡4号機(静岡県)用のMOX燃料と一緒に専用船で運ぶ。

 輸送船の出発日、概略輸送ルート、おおよその到着時期、積み出し港などは出発翌日に公表する。欧州からの輸送は2001年以来3回目で、過去2回はいずれも2―3カ月で到着している。

 九電によると、専用船は船底が二重構造で、衝突防止レーダーを備えるなど国際基準に沿った安全対策を施している。輸送容器も国際原子力機関などが定めた基準を満たし、落下や耐火試験で安全性を確認しているという。

 玄海原発に搬入した後は九電が受け入れ検査を行うとともに、国が輸入燃料検査を実施。3号機は8月下旬から2カ月程度、定期検査を行う予定で、それまでにトラブルなどが発生しなければ定期検査に合わせてMOX燃料を装荷する可能性がある。

 今夏のプルサーマル実施について、九電は「輸送時期の特定につながるので、今は何とも言えない。社会的関心が高いので、情報は可能な範囲で提供したい」と話す。

 県原子力安全対策課は「九電から詳しい説明を受けるとともに、法令に基づき国に提出される輸送計画の安全確認の内容も確かめる。その上で、県として了解するかどうかを判断したい」としている。


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Posted by 昏君 at 00:01│Comments(0)玄海町
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平田義信