被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト
「もんじゅ」 いつ始動か、目標を定めよ
読売新聞社説(2009/04/23)

 技術開発では、明確な目標の設定が大事だ。高速増殖炉「もんじゅ」ではどうか。

 ウラン資源を有効に活用できる「核燃料サイクル」の柱として、官民で取り組んできたが、トラブル続きで、いつ動くか、見通しが立たない。

 漫然とした取り組みでは、現場の緊張感を維持できない。日本原子力研究開発機構は、いつまでに始動の準備を終えるのか。少なくとも技術的には、目標を見据えて作業を進めるべきだ。

 高速増殖炉の研究開発拠点として福井県敦賀市に建設された「もんじゅ」は、試運転中の1995年にナトリウム漏れ事故を起こした。以来、地元の反発で止まっていたが、2005年、安全向上工事に同意が得られ、再始動へ向けた取り組みに着手している。

 だが、最終点検が続くなか、昨年、新たにナトリウム漏れ検出器の取り付けミス、排気ダクトの腐食穴放置が相次いで判明した。

 検出器が鳴った際、地元自治体への連絡が大幅に遅れるといった不手際もあった。

 直ちに安全に支障が出るトラブルではない。しかし、政府、地元などへの配慮もあり、再始動の目標は口にできなくなった。

 緊張感の欠如は否みがたい。内部の調査でも、点検計画に欠陥があったことや、職員の士気が低下していること、幹部の安全確保に対する意識に甘さがあったことなどが指摘されている。

 95年の事故以来、運転停止は長期にわたる。再始動への理解が得られないまま、ズルズルと施設を維持する作業に従事してきた。本来の技術開発とは対極の状況に置かれてきた弊害とも言える。

 この調査結果も踏まえて、機構は、この2月に、「もんじゅ」の組織を大幅に改組した。点検、補修などの担当部署を強化し、電力事業者からの応援要員も幹部に加えて、組織内の指揮系統、責任分担を明確化した。

 一刻も早く、新体制に魂を入れることが求められる。

 実際の再始動は、政府の規制当局、地元自治体の了解が前提となる。それも、技術力を高め、安全確保に努力することでしか、乗り越えることはできない。

 日本のエネルギー安全保障、地球温暖化対策を考えると、原子力発電の役割は重い。特に、一般的な原発より数十倍もウラン資源を有効に使える高速増殖炉技術の確立は、切実な課題だ。

 「もんじゅ」は今が踏ん張りどころ、と心得ねばならない。



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Posted by 昏君 at 08:46│Comments(0)玄海町
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平田義信