もんじゅトラブル、組織のたるみ要因…原子力機構が報告書
読売新聞(2009/04/20)
年内再開に影響必至
1995年12月のナトリウム漏れ事故以来、停止している高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)でトラブルが相次ぎ、運転再開が遅れている問題で、設置者である日本原子力研究開発機構が根本原因を内部調査し、組織のたるみが最大要因と自己批判する報告書をまとめた。22日の経済産業省の審議会で報告される。年内を目指している運転再開に影響を与えるのは必至だ。
調査は、同省原子力安全・保安院の指示で、トラブルと直接関係のない内部チームが実施した。
報告書は、運転休止が10年以上に及んで予算も減る中で、「機構幹部が安全確保の具体的な方針・目標を示さず、的確な人員・予算の配分をしなかった」ことをトラブル多発の最大の要因に挙げた。これによって現場の士気が低下し、「高速増殖炉という先進的プロジェクトの意義と重要性に対する自覚が不足した」と分析。それが、点検計画や報告書を内部で最終審査する「原子炉等安全審査委員会」の機能不全につながった、としている。
「機器のことはメーカー任せ」など、組織内外の意思疎通の不足も指摘した。
もんじゅでは点検やダクトの補修工事などが進められているが、組織の改革は時間がかかり、再開がさらにずれ込む可能性がある。
読売新聞(2009/04/20)
年内再開に影響必至
1995年12月のナトリウム漏れ事故以来、停止している高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)でトラブルが相次ぎ、運転再開が遅れている問題で、設置者である日本原子力研究開発機構が根本原因を内部調査し、組織のたるみが最大要因と自己批判する報告書をまとめた。22日の経済産業省の審議会で報告される。年内を目指している運転再開に影響を与えるのは必至だ。
調査は、同省原子力安全・保安院の指示で、トラブルと直接関係のない内部チームが実施した。
報告書は、運転休止が10年以上に及んで予算も減る中で、「機構幹部が安全確保の具体的な方針・目標を示さず、的確な人員・予算の配分をしなかった」ことをトラブル多発の最大の要因に挙げた。これによって現場の士気が低下し、「高速増殖炉という先進的プロジェクトの意義と重要性に対する自覚が不足した」と分析。それが、点検計画や報告書を内部で最終審査する「原子炉等安全審査委員会」の機能不全につながった、としている。
「機器のことはメーカー任せ」など、組織内外の意思疎通の不足も指摘した。
もんじゅでは点検やダクトの補修工事などが進められているが、組織の改革は時間がかかり、再開がさらにずれ込む可能性がある。
もんじゅ
プルトニウムとウランの混合燃料を燃やし、使った量より多いプルトニウムを作り出す高速増殖炉。ウラン資源を有効利用する核燃料サイクル政策の中核に位置付けられる。原子炉の開発は実験炉、原型炉、実証炉、商用炉の順に進められ、その第2段階の原型炉。出力28万キロ・ワット、運転開始は1994年。
原子力の平和利用を協力して推進
朝日新聞(2009/04/20)
21世紀のための原子力エネルギーに関する閣僚級会合が20日から22日まで北京で開催され、60カ国以上の閣僚、国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機構(OECD)などが参加する。「エネルギー資源と環境」「原発の基礎構造」「原発技術の現状と展望」「燃料供給と廃棄物管理」などが議題となる。中国国際原子力機関主催の「世界の原子力」をテーマにした展覧会も同時に催される。
世界的なエネルギー需要の高まりに伴い、代替可能な低汚染エネルギーの開発と利用が、一刻の猶予もならない課題となっている。エネルギー安全保障、エネルギー価格の安定、環境保護など多方面への考慮から、多くの国々が原子力発電の開発に目を向け始めている。現在、原子力発電は全世界の電力供給の14%前後を占める。08年だけでも、原子炉は世界で10基増えた。気候変動対策のため、非原発政策の変更を表明した国々もある。
原子力の平和利用には大きな発展性があるが、障害も多い。核廃棄物の処理や長期的な安全性への懸念、原発の稼働過程での放射能漏れのおそれなどから、人々はその信頼性に疑問を抱いている。1986年に旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で起きた事故の後、各国は教訓を汲み取り、原発を安全に運転し、放射能漏れの発生を減らす技術の向上に力を入れてきた。原子炉格納容器の建造などがこれに含まれる。核廃棄物の管理面では、使用済み核燃料の処理で、いくつかの国が技術的なブレークスルーを遂げた。だが世界的に核廃棄物は日増しに増加しており、この問題の効果的な解決は依然として試練となっている。
温室効果ガスの削減や積極的な気候変動対策への関心が高まり、省エネ、排出削減、持続可能な発展も注目されるテーマとなっている。原子力の平和利用は重視に値する対策の1つといえよう。国連報告は、今後40年の間に、気候変動による地球への取り返しのつかない破壊的な影響を回避するためには、世界で年間32基の原発を新設する必要があると予測している。
世界金融危機は原発産業に一定のマイナス影響をもたらしたが、原発推進の趨勢を変えることはできない。今回の閣僚級会合は、05年にパリで開催された第1回閣僚級会合に続く、世界の原発界に影響力ある会議だ。会議は有益な交流の場を提供し、原子力の平和利用を世界規模で促進する。
朝日新聞(2009/04/20)
21世紀のための原子力エネルギーに関する閣僚級会合が20日から22日まで北京で開催され、60カ国以上の閣僚、国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機構(OECD)などが参加する。「エネルギー資源と環境」「原発の基礎構造」「原発技術の現状と展望」「燃料供給と廃棄物管理」などが議題となる。中国国際原子力機関主催の「世界の原子力」をテーマにした展覧会も同時に催される。
世界的なエネルギー需要の高まりに伴い、代替可能な低汚染エネルギーの開発と利用が、一刻の猶予もならない課題となっている。エネルギー安全保障、エネルギー価格の安定、環境保護など多方面への考慮から、多くの国々が原子力発電の開発に目を向け始めている。現在、原子力発電は全世界の電力供給の14%前後を占める。08年だけでも、原子炉は世界で10基増えた。気候変動対策のため、非原発政策の変更を表明した国々もある。
原子力の平和利用には大きな発展性があるが、障害も多い。核廃棄物の処理や長期的な安全性への懸念、原発の稼働過程での放射能漏れのおそれなどから、人々はその信頼性に疑問を抱いている。1986年に旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で起きた事故の後、各国は教訓を汲み取り、原発を安全に運転し、放射能漏れの発生を減らす技術の向上に力を入れてきた。原子炉格納容器の建造などがこれに含まれる。核廃棄物の管理面では、使用済み核燃料の処理で、いくつかの国が技術的なブレークスルーを遂げた。だが世界的に核廃棄物は日増しに増加しており、この問題の効果的な解決は依然として試練となっている。
温室効果ガスの削減や積極的な気候変動対策への関心が高まり、省エネ、排出削減、持続可能な発展も注目されるテーマとなっている。原子力の平和利用は重視に値する対策の1つといえよう。国連報告は、今後40年の間に、気候変動による地球への取り返しのつかない破壊的な影響を回避するためには、世界で年間32基の原発を新設する必要があると予測している。
世界金融危機は原発産業に一定のマイナス影響をもたらしたが、原発推進の趨勢を変えることはできない。今回の閣僚級会合は、05年にパリで開催された第1回閣僚級会合に続く、世界の原発界に影響力ある会議だ。会議は有益な交流の場を提供し、原子力の平和利用を世界規模で促進する。
佐賀・玄海町 韓国・機張郡 「原発」交流で協定へ
西日本新聞(2009/04/20)
【釜山19日甲木正子】佐賀県玄海町と韓国釜山市機張(キジャン)郡は19日、原子力発電所がある地方都市同士として、早ければ7月にも友好協定を結ぶことで基本合意した。原子力行政の在り方や住民への原発への理解促進の方策などを話し合い、情報交換やアドバイスし合うとともに、両地域の経済・文化交流も進める。同日、機張郡内を訪れた岸本英雄町長と崔鉉〓(チェヒョンドル)郡守(郡長)が協定内容の大筋で合意した。
機張郡の古里(コリ)原発は1978年に運転を開始し、現在は4基(出力計約300万キロワット)が稼働。さらに2基が試運転中で、建設中の2基を含め2011年ごろには韓国最大の8基体制になるという。
「最初は住民の反発が大きかったが、関連産業の誘致などで理解は深まってきた」と崔郡守が説明。岸本町長は玄海町の九州電力玄海原発3号機で国内初のプルサーマル計画が進められていることで「(機張から)求められればアドバイスもしたい」と語った。両地域の産業発展につながる経済交流や青少年交流、スポーツ文化交流なども促進する計画だ。
両自治体は海に面した水産業が盛んな地域として、2000年から民間レベルでの交流を深めてきた。玄海町の花火大会や産業文化祭、機張郡の「イワシ祭り」に相互に参加し、物産販売などを行っている。同町国際交流協会と韓国飲食業中央会釜山広域支会機張郡支部が昨年4月、友好協定を結んだことで「行政同士も協力し、互いの発展を促進する時期が来た」(岸本町長)と、今回の合意に至った。
※文中の〓は「石」の下に「乙」
韓国 釜山市 機張(キジャン)郡 古里(コリ)原子力発電所
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西日本新聞(2009/04/20)
【釜山19日甲木正子】佐賀県玄海町と韓国釜山市機張(キジャン)郡は19日、原子力発電所がある地方都市同士として、早ければ7月にも友好協定を結ぶことで基本合意した。原子力行政の在り方や住民への原発への理解促進の方策などを話し合い、情報交換やアドバイスし合うとともに、両地域の経済・文化交流も進める。同日、機張郡内を訪れた岸本英雄町長と崔鉉〓(チェヒョンドル)郡守(郡長)が協定内容の大筋で合意した。
機張郡の古里(コリ)原発は1978年に運転を開始し、現在は4基(出力計約300万キロワット)が稼働。さらに2基が試運転中で、建設中の2基を含め2011年ごろには韓国最大の8基体制になるという。
「最初は住民の反発が大きかったが、関連産業の誘致などで理解は深まってきた」と崔郡守が説明。岸本町長は玄海町の九州電力玄海原発3号機で国内初のプルサーマル計画が進められていることで「(機張から)求められればアドバイスもしたい」と語った。両地域の産業発展につながる経済交流や青少年交流、スポーツ文化交流なども促進する計画だ。
両自治体は海に面した水産業が盛んな地域として、2000年から民間レベルでの交流を深めてきた。玄海町の花火大会や産業文化祭、機張郡の「イワシ祭り」に相互に参加し、物産販売などを行っている。同町国際交流協会と韓国飲食業中央会釜山広域支会機張郡支部が昨年4月、友好協定を結んだことで「行政同士も協力し、互いの発展を促進する時期が来た」(岸本町長)と、今回の合意に至った。
※文中の〓は「石」の下に「乙」
韓国 釜山市 機張(キジャン)郡 古里(コリ)原子力発電所

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